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丸善の日本橋店が復活

丸善・日本橋店の外観

 丸善の伝統を物語る旧日本橋店をリニューアルした「丸善・日本橋店」が3月9日にオープンした。大型書店はあまたあれど、丸善というブランドの響きは別格の趣がある。

 旧日本橋店は2004年秋に再開発事業のため、いったん閉店していた。リニューアルオープンした「丸善・日本橋店」は、旧店とほぼ同じ規模の3300平方メートル(約1000坪)の売り場面積を確保している。丸の内本店には及ばないものの、名古屋栄店や昨秋オープンしたラゾーナ川崎店と並ぶ規模だ。地上11階、地下2階の新ビル「日本橋丸善東急ビル」の地下1階〜地上3階が新店舗だ。洋書・和書を合わせて約60万冊を取り扱う。統一されたデザインで整然と並んだ書棚は目指す本を見つけ出しやすい。

 「日本橋店」は丸善の原点とも言える場所。ショップコンセプトを「The First MARUZEN」と掲げ、丸善の中で「第一」の品質を提供する店舗と位置付けた。店内のたたずまいは創業当初のクラシカルなムードをたたえている。内装には、明治末期から大正期の日本橋店(赤レンガの洋館)のたたずまいを思わせる赤れんがを用いた。書棚のデザインも当時の日本橋店の店内を髣髴(ほうふつ)させる、木のぬくもりが感じられる造りだ。

 

初代日本橋店は、さかのぼること今から約140年前の1870年(明治3年)に、丸善が東京に初めて開いた店だ。横浜で創業した翌年に構えた初代日本橋店は、1870年という文明開化の時期に日本の近代化を、舶来の文物を通じて後押しした歴史的店舗と言える。その伝統を受け継ぐ日本橋店は、読書人のたしなみとして足を運んでおきたいスポットだ。

写真

丸善・日本橋店の書籍売り場

 書籍売場では旧店舗では取り扱っていなかったコミックや学習参考書まで網羅している。丸善の強みとされてきた専門書、洋書にも引き続き売り場スペースを用意した総合書店の店構えだ。近隣に銀行・証券会社が集まっていることに配慮し、金融関連書籍の充実ぶりが目を引く。

 丸善は本しか売っていない書店ではない。文房具の名店としてもつとに有名だ。欧米の優れた文房具を日本に紹介する「窓」となってきた。

 地下1階・1階の文具・雑貨売場には万年筆やボールペンをはじめとする高級筆記具をそろえた。丸善が厳選した雑貨やオリジナル商品なども展開している。眼鏡サロンも併設した。ファンの多かったステッキも引き続き販売している。

 文豪・夏目漱石が「オノト」の万年筆を愛用したのは広く知られている。丸善は「オノト」以外にもウオーターマン、ペリカンなどの万年筆も輸入し、日本に広めた。

 丸善特製のメモ帳「万年筆物語メモ」も人気が高い。漱石が愛用した原稿用紙をモチーフにしたデザインだ。原稿枠の上下に唐草模様を配し、飾り模様として上部左右に龍の顔をあしらった趣深い仕立て。ベージュっぽい地色が目に優しい。罫線も手描き風にところどころよれていて、温かみを感じさせる。

 惜しまれつつも2005年10月に閉店した丸善の京都河原町店は、作家・梶井基次郎の小説『檸檬』(れもん)のラストシーンで、主人公がレモンを本棚に置いて去った場所として知られる。主人公をまねして、レモンをこっそり置いて去る客が後を絶たなかった。

 日本橋店のオープンを記念して売り出したのが、ボールペン「檸檬」(1万4490円限定500本)。鮮やかなレモンイエローの本体デザインは、小説『檸檬』からインスパイアされているそうだ。

 丸善・日本橋店は丸善の本店と思われがちだが、実はそうではない。これまで本店の機能を果たしていたといえるが、一度も本店の看板を掲げたことはない。だが、2004年秋に東京駅に隣接する丸の内オアゾ(oazo)内に出店した際、初めて「丸善・丸の内本店」と「本店」の冠をつけた。丸の内本店は、蔵書数が約120万冊という丸善の本店にふさわしい日本最大級の書店となった。

 日本で最も早い時期から英国の服飾ブランド「バーバリー」を取り扱ってきた。本来は書店でありながら、創業当初の日本の近代化という使命のもと、日本のメンズファッションを欧風化する上で少なからぬ貢献を果たした。旧店舗が再開発事業のためいったん閉店する際に日本橋店近くに2004年に開いた「丸善ヤマノ服飾館 日本橋」では、今でも丸善テイストのファッションアイテムをそろえている。この事業は2006年11月、ヤマノグループと共同で設立した丸善ヤマノへ事業譲渡した。

 丸善はハヤシライスと縁が深い。丸善の創業者、早矢仕有的(はやし・ゆうてき)がハヤシライスを考案したといわれるからだ。旧店舗の屋上レストランでも親しまれたメニューの一つだが、新店舗でもこの由緒ある「早矢仕(ハヤシ)ライス」が味わえる。本選びの合間には、3階のカフェにてゆったりとした時間を過ごせる。ハヤシライスの語源には諸説あるが、いわくたっぷりのハヤシライスを食しながら、日本の書店の来し方、行く末に思いを巡らすもよし、買ったばかりの本を開くもよし。丸善ならではの知的な空気に包まれて過ごすのは、読書人の特権と言えよう。

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店舗概要

店名:丸善・日本橋店
住所:東京都中央区日本橋 2−3−10
電話:03-6214-2001
営業時間:午前9時30分〜午後8時30分
取扱商品:和書・洋書・文具・眼鏡・時計

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