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<黒澤和子>第4回 着る物には、人生や性格が出るんだ
黒澤和子さん |
映画衣装デザイナーの黒澤和子さんは、日本が世界に誇る映画監督、故・黒澤明氏の長女だ。父の温かい思いが詰まった100の言葉を集めた『黒澤明「生きる」言葉』(PHP研究所刊)から、これから未来に向けて楽しく自分らしく生きていくヒントになる言葉を厳選。その言葉に秘められた黒澤明の真意や意外なエピソードを聞いた。
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映画監督にとっては、衣装も映像表現の一つです。そして、着るものにはその人の「人となり」が表れます。そのため、映画製作の際には、「登場人物の仕事はこれで、このような人生を辿ったから、この場面ではこんなものを着ているのでは?」と人物面と場面を想定しながら衣装を検討します。衣装は、その人の生業や性格を表現する手伝いもするわけです。
心根が優しい人であれば姿形に表れるし、正しそうにしていてもどこか根性が悪ければ、やはり姿形に表れるということだと思うんです。これは顔の表情にもつながっていて、特に長く生きれば生きるほど、いい意味でも悪い意味でも顔に出てしまいます。だから、「ちゃんと生きなければいけない」と父は言っていました。
父は披露宴やパーティーで、政治家がスピーチしようものなら、その人の顔を見て、「あの人は、きっとスピーチが長いはずだ」と耳打ちするし、「あの人はきっと会社の宣伝から話に入るぜ。そして、半分は会社の話でスピーチは終わるんだ」とスピーチが始まる前からそう言って、私を笑わせるんです。
父自身は来賓として結婚式に呼ばれることが多かったのですが、一番最初にスピーチをするときは「祝辞というのは短いから祝辞で、長いのは弔辞だからあまり良くない」と、言い放っていました。そのおかげで、父の後にスピーチをする大臣や会社の社長さんなどのお偉いさんたちは「黒澤さんにあんな風に言われてしまいましたので、スピーチを半分にいたします」と恐縮していて、おかしかったですね。
父は正義感が強く、感情がはっきりしている人でした。それと同時に、何でも面白がる人で、子供のように無邪気でちゃめっ気があり、まるでいたずらっ子みたいな人でした。
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