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歌手・クミコさんが選んだ70年代の代表歌(クミコ)

第4回 吉田拓郎さんの「制服」

クミコさん

 高度経済成長が終わりを告げた1970年代。この時代の名曲を集めたアルバム「友よ!〜あの出発ち(たびだち)を“青春”と呼ぼう〜」をリリースした歌手のクミコさんは、70年代の日本人が持っていた温かさをあらためて感じたと話す。70年代の歌には大切なものがたくさん詰まっていたと語るクミコさんに、当時を振り返っての思いを聞いた。

◇   ◇   ◇

 吉田拓郎さんの「制服」という曲をアルバムに収めています。この曲は集団就職をテーマにした歌です。集団就職なんて言葉は、とうの昔に死語になってしまいました。今の若い人には成り立ちから説明しなきゃならないでしょうね。

 私自身はそもそも最近までこの歌を知りませんでした。「1970年代の作品を集めたアルバムを作りたいんだけど、何かいい歌を知らない?」と知人たちに聞いたとき、何人かがこの歌を挙げたんです。知る人ぞ知るといった歌ですが、その人たちにとっては宝石のような価値のある歌なんです。

 この歌の世界は映画「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)に近いと思います。この前も仲間とお酒を飲んでいて、「あのころ、集団就職で東京に来た人たちはどうしてるだろう」という話になりました。「自分が経営している工場にも集団就職の人が数人来たけど、何人かは逃亡して、何人かは東京に根付いて普通に生活している」。仲間の1人がそんな話をしてくれたんです。

 集団就職の当事者たちは、大変な思いを抱えて、震えながら東京にやってきたんでしょう。そのころの写真を見ると、青森あたりから来た「おかっぱ頭」の女子学生が、セーラー服を着て手にリンゴのかごを持っていました。ビニール製のリンゴかごです。

クミコ
(くみこ)
歌手
1954年茨城県生まれ。早稲田大学教育学部卒。78年、「世界歌謡祭」に日本代表の1人として参加。82年にはシャンソニエの老舗、銀座の「銀巴里」で歌い始め、プロとしての活動をスタート。87年、デビューミニアルバム「POKKOWA PA?」リリース。2002年、「わが麗しき恋物語」がラジオで連日流されたのを機に大ヒットし、注目を集める。

 わざわざ青森からリンゴを詰めて持ってきて、雇い主さんにおみやげとして渡していたようなんです。そんなふうに地方から必死の思いで働きに来た人たちがいました。その人たちが現在の東京を作り上げてきたんです。

 それがほんの少し前までの現実だったことを考えると、実は日本も日本人もそんなに変わってないはずだと思ったりもします。私にとって拓郎さんの「制服」は、変化していない日本を象徴する歌です。

 かつての日本人はみんな貧しく、隣同士が肩を寄せ合って生きていました。その人たちが頑張ってくれたおかげで、豊かな現在があるんです。「先輩、どうもありがとう」って、あらためて言いたいです。

公演情報

クミココンサート’08「ブラボー!」
公演スケジュール:2008年6月27日(金) 18時30分開場 19時開演
場 所:東京国際フォーラム ホールC
詳細はこちら

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