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ミシュランが見落とした大衆食
レストランガイド本『ミシュランガイド京都・大阪2010』で京都・大阪版の3つ星は計7店。星を得た店は全部で147店にのぼった Photo copyright: MICHELIN |
レストランガイド本『ミシュランガイド京都・大阪2010』には、「見落とし」がある。スーツにドレスで出掛けるわけではない、普段着の店に潜む「大衆食パワー」は、両ミシュランから省かれてしまっている。価格のリーズナブル感でも昨今、一段と頼りがいを増す「町の巨匠」の店と巡り会うには、別のツールが必要だ。
京都・大阪版の3つ星は京都6店、大阪1店の計7店。星を得た店は全部で147店にのぼり、最初の東京版の3つ星8店、計150店にほぼ並ぶ評価結果だ。日本の食のクオリティーを、東京版ともども世界最高の星数で褒め称えてくれたが、そのセレクトは上澄みでしかないようにも見える。
3つ星に輝いた店は、菊乃井本店や京都吉兆嵐山本店など、日本料理の名店が多い。横文字店名は現代風フランス料理の「HAJIME RESTAURANT GASTRONOMIQUE OSAKA JAPON」(大阪市)だけだった。
京都、大阪の食文化を考える場合、最も重要なベースと成りうるのは、「出汁(だし)」だろう。もちろん、ほかの地域でも出汁は重要だが、「出汁の味が分からない人は味を語る資格がない」とまで見なされがちな京都、大阪にあって出汁は特別な存在だ。出汁の味に定評のある日本料理店が上位を占めたのは、妥当な調査結果と言えるだろう。
ただ、日本料理(懐石・割烹)とフランス料理偏重は東京版から変わっていない。お好み焼きやたこ焼きなど、地元で「コナモン」として愛される小麦粉原料の庶民派フードは揃って星を逃した。出汁の味に関西人が誇りを持つうどん主体の店も掲載されていない。
大阪色の濃い料理としては唯一、串揚げが1つ星を得た(「六覺燈」)。大阪名物とされる「ハリハリ鍋」で知られる鯨料理や、鶴橋エリアに集まる焼き肉・ホルモン焼きも専門店が星を得ることはなかった。
串揚げは「大阪の味」として認知を得た格好だが、焼き鳥や炉端焼きは東京、京都・大阪版のどちらでも結果的に無視されている。揚げ物だけがおいしくて、焼き物は劣るという道理もないので、この線引きには高級感の有無が関わっているかのようなにおいがする。だが、スタイリッシュな内装の焼き鳥店が増える中、「串揚げ○、焼き鳥×」は納得感が低い。
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