3杯目編 第7回

 珍パン迷パンご当地パン(その4) 乱入デスクが頭脳パンの秘密を探る

関東における頭脳パンの牙城、伊藤製パン本社

 デスクが暑いさなか、埼玉県の岩槻(いつの間にかさいたま市になっていた)にある伊藤製パンで「頭脳パン」の取材をしてきた。片道2時間あまり。汗どろどろで帰ってきたデスクは両手いっぱいの各種頭脳パンを抱えていた。読みたい人も読みたくない人もここをチェック。

 ということで、読者プレゼントまで付いている。頭脳パンを売っていない関西、九州地区の皆さん、奮って応募してください。締め切りは7月8日午後5時。

 さて、今週もパンに関するメールを多数いただいている。まずはこのメールから。

漬物系パン(のべさん提供)

ご意見 伊勢に行っていないのですが、キトラの帰りに京都駅でこのようなパンを見つけました。しば漬けだけですが(のべさん)


 京都駅にも漬物パン出現。伊勢から近鉄電車に乗ってやってきたのか。しば漬けというところが京都である。では同じ近鉄つながりで奈良に奈良漬パンがあってもおかしくはないが、あっても果たして買う人がいるかどうか。

 のべさん、キトラと高松塚の壁画よろしくお願いします。日経ホールの4階下におりますので、また講演やシンポにおいでの節はお寄りください。

 初出のパン。

ご意見 子供のころ「リンゴパン」というパンをよく食べました。ちょうどカステラとスポンジケーキの中間くらいの(玉子)ボーロをすこし大きくしたくらいの2枚の生地の間に、白いクリームが挟んであるのです。
 そのクリームというのが、駄菓子屋さんのプラスチックの小さいカップに入っていて、10円くらいで売っている、ヨーグルトという名前のあま〜いクリーム、あの木でできたアイスのものよりさらに小さいスプーンで食べるあれですよ、あんな感じ。
 で、どこが「リンゴ」かというと、子供のころからさっぱりわかりませんでした(いまだにわかりません)。確か九州地方では有名なイケダパンでも製造されていたはずです(名古屋在住、宮崎出身の野崎38歳さん)


 おぼろげながらリンゴパンの姿が脳裏に浮かぶ。透明な包装フィルムに真っ赤な字で「リンゴパン」と書いてはいなかったか。しかもリンゴの絵も描かれていたのではなかったか。あれは九州限定?

デスクううむ 多分。僕、知らないから。

 ところでこれは商品名ではあるまい。

ご意見 学生のころ、よくお世話になっていたのが貧乏パンです。山崎パンの商品だったと思いますが、新潟のせんべいパンのように渦巻状のデニッシュにアイシングまでかかっていて100円。円盤みたいに大きかったので貧乏なときはこれを食べてしのいでいました。貧乏パンという呼び名はほかの地域(私の学校は千葉県習志野)でもあるのかな〜(ディープな下町振興会さん)


 貧乏パンの本名はなんというのだろうか。学生時代の私にとって貧乏パンは食パンの耳で、パンの耳を揚げて砂糖をまぶしたものは子供のころ大変豪華なおやつであった。

 最近の子供はぜいたくなので、今度「フライド・イヤーズ・オブ・ブレッド」を作って食べさせてみよう。

デスクはてな 英語でパンの耳は「crust」だそうです。ただし、あんまり「食パン」は食べないから、そもそも「パンの耳」という概念がないみたい。外国人は。

 次のパンなどはさすがに愛媛。

じゃこ天サンド(kazusuketさん提供)

ご意見 松山に行ってきました。道後温泉街の喫茶店にある「じゃこ天サンド」。マヨネーズが違和感を和らげてくれますが、じゃこの風味が優ってます。この喫茶店にはきな粉トーストなるものもありました。ビールとならイケたのでしょうか。
 コンビニで購入した「白いサイダー」。まだ飲んでないので味がわかりません。
 松山市内には鍋焼きうどん専門店があるよう。煮込むわけでもなく上や特上があるわけでもなく、器としてアルミ製の鍋で食べさせている印象。サイドメニューはおいなりさん。入ったお店では醤油飯ものり巻きも白飯もなく、うどんも「鍋焼きうどん460円」のみでした(kazusuketさん)


 小魚の骨まで使った骨太の揚げ物「じゃこ天」。それがマヨにまみれてパンに挟まれている。しかも喫茶店メニュー。コーヒーと合うのかどうか。やっぱりビールの友かもね。

 愛媛の皆さんに教えていただきたい。松山には、あるいは愛媛県各地には特に煮込んだりはせず、器がアルミの鍋であるというだけの鍋焼きうどんがぞろぞろあるのですか? 鍋に入ってはいるけど、中身は普通のきつねうどんとかだったら、少しユルくないですか?

 私はこのようにユルい物件が好きである。もし、愛媛各地にアルミ鍋うどんが点在するなら食べに行きたいものである。

 沖縄のご当地パン。

ご意見 パンですぐに思いつくのが沖縄の紅いもパンです。読谷村が特産の紅いもをベースにしたパンです。私は読谷村のアリビラで味わいましたが本島内のホテルで普通に出されているようです(たっくんのパパさん)


 紅いも。表面は黄色。割ると鮮やかな紫色。ちょうどいまNHK「みんなの歌」で「よみたんのべにいもー」と歌っている。

マヨまみれの刻みタクアンです(SAEIさん提供)

ご意見 「タクマヨパン」について議論されていたので黙っていられずメールをさせていただいた次第です。このパンは私の地元(茨城県)のサンクスで発見しました。最初は名前を読み間違えてたまごパンだと思ったくらいです。面白かったのでブログのネタにしようと食べてみたのですが、味は微妙でした…。しかも、私がタクマヨパンを買ってから1週間もしないうちに店頭から商品が消えてしまいました。やっぱり人気がなかった、というか評判が悪かったのでしょうかね(茨城県在住 SAEIさん)


 タクアンにマヨネーズを添えてパンで挟んだ物件。内心、行く末を心配していたのだが、そうかやはり姿を消したか。写真で生前のお姿を確認できたのはうれしい限りである。

ご意見 函館市内には「ラッキーピエロ」というハンバーガー屋さんが何軒かありまして、ここはウマイので人気があります。このお店には普通のハンバーガーの他に中華風とかイカのハンバーガーもあります。
 で、先程ここのWEBを見たところ「MYバーガーアイデアコンテスト」なる新メニューのコンテストみたいなものをやっていて、1位にジンギスカンバーガー、2位にクジラバーガーが選ばれて、6月23日から実際に販売されているそうです。
 ワタクシ、ジンギスカンもクジラも大好物なのですが、「函館に行きたしと思へども函館はあまりにも遠し」でございます。内地では千葉に「ラッキーピエロ」があるらしいのですが、そこは親戚筋だかで、直営ではないそうです(みなみ@神奈川さん)


オリジナリティー豊か

 先だって函館へ行った折に、そのメニューの一部を撮影しておいた。確かに繁盛していた。食べようかとも思ったが、なにしろ「味噌カレー牛乳納豆ラーメンバター添え」を食う時間が迫っていたので断念した。だんねんでした。

デスク無言でため息 ……。
野瀬 なにか?

 私が小浜で食べたものではない本場の鯖サンド。

頭脳パンにはこんな文字が

ご意見 トルコはイスタンブールあたりには鯖サンドがあるそうですね。炭火で焼いた鯖と野菜を挟んである。船着き場に小舟を寄せて鯖を焼き、なんと半身を生玉ネギの輪切りなんかとともに、大きめのコッペパンくらいのバゲットに挟んでくれるらしい。
 巨大で食べきれない人続出。塩気に耐えかねる人もいるらしいが、基本的には日本人好み。ところが、これが歴史的景観を損ねるとして絶滅の危機に瀕しているそうな。なんか、どこの国でも似たようなことが起きるものですね(ちろこ@札幌在住%和歌山出身さん)

ご意見 先日本屋さんで立ち読みしていたら、「ご当地グルメなんたら」とかいう雑誌(mook?)を見つけました。新潟のイタリアンとか鞍馬サンドとか紹介してあり、てっきり新日本奇行の雑誌だと思ったら、全然関係ないところが出版していました。だって地サイダーの特集まであったんですから。
 パンの話題といえば、鯖パンが出てきたところで、イスタンブールの鯖パンの話が出るかと期待したのですが、出てきませんでした。トルコに行った日本人なら必ず知ってるパンです。
 ところで最近ある本を読んでいたら、関東と関西で魚屋の魚の並べ方が違う、という話が書いてありました。縦と横。しかもその境界線が関ケ原だそうです(ちどりのおっとさん)


 その本と当サイトとはまったく関係がない。というか出ているという話は聞いていたが見ていない。

 6月29日のTBS系「はなまるマーケット」で、いわゆる冷やし中華の呼び方に関する私たちの地図が紹介された。もちろんクレジットはちゃんとつけてもらった。地方のテレビ局からも地図を使いたいという依頼が時々ある。この間は静岡の局だった。出所さえちゃんと言っていただければテレビなんかで利用していただくのは歓迎である。

 ではなくて鯖サンドである。鯖の半身を食べろと言われると覚悟がいるが、私は鯖が好きなのでかなり頑張れるかも。鯖の竜田揚げをサンドにすると美味いかなあ。オニオンスライスと一緒に。マヨなんかつけずに。

 ああ、美味いかも。やってみようか。

デスクわくわく やってみましょう! 僕も鯖大好き。塩鯖サンドがいいなぁ。

 ところで、鮮魚店での魚の置き方の違いは気になるなあ、本当かなあ。

 がんづき。

「グリル スイス」の元祖カツカレー。元巨人軍の千葉茂選手考案とか(本文と関係あるわけがありません)

ご意見 さて、がんづきが登場しましたね。嬉しい限りでございます。岩手ではフツーにパン屋やスーパーで売っているまことポピュラーな食物であります。見た目は蒸しパンですが、玉砂糖という粒子の粗い砂糖を使って、さらに重曹+ベーキングパウダーの合わせ技によるしっとり、もっちりした食感は蒸しパンとは似て非なるものであります。
 隠し味に醤油なんかが入っていることも。現在は仙台在住ですが、たまに見かけて食してみると、これはがんづきではない、蒸しパンである、ということがしばしば(菊池さん)


 メールを読んでいるとある方は蒸しパンであると言い、別の方は蒸しパンに見えるが違うものであるとおっしゃる。非がんづき地域に生きる私にはもうひとつ像が結ばない。

ご意見 がんづきは新潟にも普通に売っていましたが何か? 黒糖のやつです。黒ゴマものっていました。ヤマザキ製だったと記憶しています。今は黒糖フークレエとかいう名前になっているようですね。フークレエの意味が分かりません。しかもゴマないし(きぬこん@東京都さん)


中にはプリンが丸々1個!(デスク激撮)

 黒糖を使っているのであれば、醤油の隠し味ということはあるまい。名前は同じでも東北各地で内容が違うのであろうか。

ここでデスク乱入 山崎製パンのホームページによりますと「和菓子」のジャンルで黒糖フークレエが紹介されています。「黒糖風味のもっちり蒸しパン」ということです。

ご意見 太平洋側のがんづきほど、土地でメジャーではありませんが、奥羽山脈を越えた私の郷里・山形市では「麩もち」という名前でおいている店が何軒かあります。
 クルミの入った黒糖味の蒸し菓子で、蒸しパンよりももっちりとした感じ。おそらく同じようなものだと思います。ほかの土地では麩もちというと、あんこの入った麩饅頭を指すようですが、山形では全く別物ですので、ご注意ください(あがきた@新潟さん)


 黒糖フークレエになったかと思えば「麩餅」になったりするからますますわからない。では、なぜ「がんづき」というのだろう。ちろこさんのメールにヒントがあった。

これって「がんづき」と同じ?(ちろこさん提供)

ご意見 和菓子で雁月(がんづき)って言うと、ういろうみたいな蒸しものをいいますね。どちらも蒸したもので三角に切ってあるから「がんづき」? 写真は札幌市民生協で売ってた「黒糖ふかし」←商品名です。白いバージョンもあってそれは「白ふかし」。


 名前からすると「黒糖ふかし」もがんづきの一種のようである。ますますますますわからない。

デスクうむむ 和菓子で蒸しものとするとちろこさん説と山崎製パン情報とを比較検討すると黒糖フークレエ≒がんづきという考え方もできると思います。製法は蒸しパンであるが、パンではなく菓子である。これが黒糖フークレエ≒がんづき?

 ここでベトナムへ飛ぶ。

ご意見 パンといえば、ベトナムは戦前、フランスの植民地だったために、いまだにフランスパンが残っていて、街角の屋台で売られています… フランスパンも毎朝、街角の屋台でオーダーメイドのサンドイッチにして買うことができますが、その具がけっこうすごいのです。
 脂身たっぷりのチャーシューを頂点に、ケーシング入りの魚肉ソーセージのようなもの、カメムシのような匂いのする香菜など、客の注文に応じて具を入れてくれるのですが、できあがった代物は、とてもとてもフランスの香りなど感じさせてくれるものではありません。
 しかし、フランスパンという植民地時代のいいところだけ残して自由自在にベトナム色に染めていく、というのはある意味「和魂洋才」ならぬ「ベト魂仏才」とでも言うべき長所なのかもしれませんね(みんみん♂さん)


 カメムシのようなにおいのする香菜というのはコリアンダーであろう。これが入るといやでもアジアになる。女性誌が風景の一部を切り取って「プチ・パリ」と歌い上げてもアジアであることにかわりはない。というみんみんさんのメールでした。

 で、日本のパンに話を戻すと、なぜこのように様々なパンがあり、かつ次から次に意表をつくようなものが誕生しているのか。それは日本におけるパンの成り立ちや食べ物の中の位置付けによるものではないか。

このパンは赤味噌と組んでいる

ご意見 ボン・オオハシが出たので、ちょっと。ここのパンは生地に小麦粉を使用していません。なんと、米粉を使用しています。ま、うちの関連会社でも、米粉でビスケットや素麺を作って売っていましたから余り驚かないですが。

「焼きソバパン」がありますが、その延長線上にやはりありました「焼きうどんパン」が。これも自然な流れですかね。
 日本人にとってパンとは、やはり永遠の菓子パンである「あんパン」から脱却できていないような。だって、あんパンと発想が同じですから。つまりパン生地でアンコ包んだように全ての食材を生地で包んだ物として調理パンが成り立っているのです。
 生地に入れるといえば「味噌や醤油」をパン生地に入れたものが存在します。何でも入れればいいやと言う問題ではない気がしますが、でも試してみたら美味かったからこれは売れる、そんなところから色々なパンが出てくるのでしょうね(島野さん)


 おそらくこのようなことなのであろう。「あんパン」はイーストを用いず、酒種(麹)を使うというきわめて日本的なパンであり、あんこを包むということで、その後の日本的な菓子パン・調理パンの路線を決めてしまった。そう考えるとわかってくることが多い。島野説に賛成。

デスクはてな では、あんバターロールはどういった路線なんでしょうか?

野瀬 高カロリー路線でしょ。

 これまでVOTEをしていただいた干物の結果が出た。簡単に紹介する。

 アジの干物は腹開きか背開きか。背開き説が最初に入ってきた高知がやはり背開き王国であった。背開きが「非常に多い」と「優勢」を合わせると68%。隣の愛媛も背開き率が高い。

 だが、あとは背開きと腹開きが混在していてどこがどうと言い切るのは難しい。ざっくり言えば、全国的には腹開きが多いが背開きも混じっている。いまでは流通が発達していて全国各地に全国各地の干物が行くし、外国からも入ってくるので地域差が消されているようである。

 ただやはり高知は地元産が多いのか、背開きが主流である。

 干物は皮を上にして食べるか、それとも身か。

 100%「身が上」だったのは宮崎、大分、大阪、兵庫。それに岡山、愛媛、三重、和歌山が続く。全域ではないが関西、九州では圧倒的に身が上のようである。

 逆に「皮が上」という回答が過半数を占めたのは岩手のみ。

 こうしてみると身を上にして食べる人が多数派といえる。しかし皮から食べても警察はこない。

 匿名希望さんから「彦根チャンポン」に関する情報をいただいた。私は昨年、彦根に行った折、激しく目をつけていた。南予チャンポンについても激しく関心を持っている。いずれ彦根と南予で私の姿が目撃されることであろう。待っちょれよー。

 パンに関しては特段のVOTE項目が浮かばなかったので何もしない。このままほったらかし。

 次回からは「冷たいうどん・そば」をやる。冷やし中華(冷やしラーメン、冷風めん、冷めん)はやっているので基本的に除外。冷たい日本そば、うどんに焦点を当てたい。大阪で「冷やしたぬき」を注文すると何が出てくる? 山形に砂ズリ(砂肝)を使った冷たいそばはない? ざるそばのつゆにウズラの卵が入るのはどこ? 

 まあ、そんなことを語り合いたいと思う。

 おおそうじゃった。こちらの方も更新された。

 今週末は京都くさいもんオフ会。名古屋からも万博オフ会のご提案が届いている。1日夜にJIROMALさんに行くとデスクがガハハ笑いをしながら真っ黒い顔を真っ赤にしていると思う。とりあえずそれで間に合わせください。

デスク満面の笑顔 ガハハ……。

 ではまた来週。

(編集委員 野瀬泰申)

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について