まだやるの?編 第14回

 ローカル揚げ物(その1) じゃこ、バス、焼きそば……てんこ盛り

<写真を拡大>「とか」物件

 大分県中津市に「からあげ」の取材に行ったときの写真を見つけるのに、かれこれ2時間もかかった。

 自慢しているわけではないが、私は機械というか電子機器を使うのが苦手である。そこで写真のデータがいっぱいになると机君やアミー隊員に頼んでCDにコピーしてもらってきた。そんなCDが何十枚もデスクの引き出しに入っている。

 CDにはどこに何の取材に行ったときのものであるかがわかるように、メモが書かれているのであるが、そのメモを読んでもさっぱり見当がつかないものが多数ある。

 例えば「東北食いものなど」というのがあり「B1とか」というのもある。「食いものなど」と書かれていても「など」が何なのかがわからないし「B1とか」の「とか」とはなんのことじゃ。考えてみると、この「とか」物件はすべてエミー隊員がコピーしてくれたものである。

右の串が「ネック」のからあげ(上)、お持ち帰り用の箱もある

 私は本日、「とか」物件と格闘した結果、「B1とか」というメモが書かれたCDを開いて精査しているうちに、やっと「中津とか」を見つけたのである。どうして中津の写真が入ったCDに「B1とか」と書くんだー。苦労したぜ、エミー隊員。

 中津市は大分県の北東端に位置し、すぐ北は福岡県である。福沢諭吉の出身地なので、私が訪れた2006年3月には「諭吉定食」を出す店もあった。

 ここは「からあげ」の一大集積地であり、市役所がつくった市内の「からあげマップ」だけで24店が掲載されている。合併後の人口が8万6000人だから、そうたいしたことはないようにも思えるが、中津のからあげ店は店内で食べるものではなく基本は持ち帰りであるのが特徴。店によっては配達もする。

 私が取材に訪れた店では夕食の時間が近づくと、ビールのつまみに、ご飯のおかずに「からあげ」を求める人々が次々にやってきて、大量に買っていく光景が繰り広げられた。中津では毎日いったい何人がからあげを食べているのであろうか。

中津の街中にあるからあげ専門店

 店によって味は様々だが、ニンニクやショウガなどを多めに使うせいか東京感覚で言うと「非常にスパイシー」である。

 中でも首の周りの肉、つまり「せせり」を集めて串揚げにした「ネック」などは、1羽からいくらも取れないので貴重であろう。

 私は以前から「九州東岸鶏肉ベルト地帯」ということを言ってきた。宮崎市を中心とする骨付きもも肉を焼いた「地鶏焼き」、宮崎、延岡の「チキン南蛮」、大分、別府の「とり天」、そして中津には「からあげ」があり、大分市辺りから北九州にかけて「かしわ飯」が存在する。

 九州の東の海沿いにはこのような鶏肉ご当地グルメが帯のように連なっており、そのうち「チキン南蛮」「とり天」「からあげ」が揚げ物である。

 チキン南蛮ととり天を取材したときの写真も残っているはずであるが、どの「とか」物件に入っているのか調べるのが大変なので、そのうち探しておくことにする。

「もり山」のから揚げ(上)、大分とり天(ミルフォードさん提供)

ご意見 中津の人気店「もり山」が、都内(東横線の学芸大学)に店を出したと聞き、行ってきました。日曜日の12時前に到着すると、名物の「骨付き(ブツ切)」をはじめ、8割方の商品が既に売り切れ。狭い店内は、番号札を持ったお客さんであふれかえっています。何でも、TVで紹介されてから、お客さんが急増したのだとか。
 品切れしてなかった「骨なし(もも肉)」をオーダーし40分待ちでテイクアウト。特製のにんにくダレをきかせた、力強い味付け。ご飯にも酒に相性よし、ですね。
 昨年夏、念願の「大分とり天」は現地で食べることができたのですが「中津のからあげ」は、まだ現地で食べていません。行きたいな!
 大分つながりで「とり天」の写真もお送りします(ミルフォードさん)


 このように、今回のテーマは中津のからあげで盛大に幕を開けたのである。

 九州が続く。

さつまあげドロップス(いけずな京女さん提供)

ご意見 私の故郷である宮崎県日南市には、九州B-1にも出展した「魚うどん」もありますが、実はもうひとつ美味いものがあるのです。
 それは「てんぷら」と言って、魚のすり身にほぼ同量の豆腐を加えて練り、黒砂糖で味をつけてちょっと細長い小判型にして油で揚げたものです。
 さつま揚げよりもしっとり、ふわっ、さくっというなんともいえない食感で、味もちょっと甘いので、学校帰りのおやつに、ご飯のおかずに、焼酎のお供にと、なかなかの優れものです。
 たまに、無性に食べたくなるのですが、他の土地では全くみかけません。ちなみに豆腐ちくわともぜんぜん違います(nozakiさん)


 豆腐が加わるところが鹿児島の「つけあげ」と異なる。油で揚げるところが蒸しものの「とうふちくわ」と異なる。実に面白い食べ物である。

 魚のすり身を使ったものなら全国にあるのではないだろうか。

「小京都巡り」趣味のデスク 飫肥天(おびてん)、各地の「郷土食」のおいしいところ集めた「ハイブリッド型」ですね。B級グルメの大先輩!?


八幡浜じゃこ天の実演販売(松山の坂本さん提供)

ご意見 まず、八幡浜じゃこ天の実演販売の様子です。油がとっても綺麗ですね。白天のすり身も綺麗。
 すり身を手元にある枠にさっと放り込み、手でさっと押さえて、小さなへらでまな板からさっと外し、さっと油に入れる。全ての動作がよどみない…。毎日やってるんだから当たり前のことだけど、職人さんってステキだなあ。
 年配の方はじゃこ天を買っていたが、じゃこカツが若い層に大人気で、試食があっというまになくなって次々補充される。四角いじゃこカツ、ぷりぷりで美味しい。

じゃこカツ(松山の坂本さん提供)

 そして変化球、とんかつパフェ。指を洗うフィンガーボールと正しい食べ方が付いてきます。冷めたとんかつを持ち、抹茶アイスをのせてリンゴで挟んで食べます。
 最初は抹茶アイス? と思いましたが、ソースの塩けと甘さ控えめの抹茶アイスが非常に合う。一口食べて笑いが止まらなかった。一生に一度は食べるべきですね、これは。
 四角いのが「がんす」。えそのすり身と野菜を混ぜてパン粉つけて揚げたもの。もともとは広島の呉あたりで盛んに作られていたようだが、愛媛でも伊予市に名店が存在する。

とんかつパフェ(松山の坂本さん提供)

 がんすは、「〜でがんす(〜です)」という接尾語からつけられた名称という説明がweb上で散見されるのだが、我が家の父が「がんすというのは見栄っ張りとか虚言とか、いわゆる真贋の贋をあらわす言葉だ」と言い張っている。
 たしかに、松山に「ぞなもし」とか「やけん」などという名前のついた食べものはないわけで…カツでもないのにカツのように装った食べものを贋(にせもの)扱いしている名前だというのは納得できる(松山の坂本さん)


デスク腕組み なるほど。次に出てくる「天ぷら○○」の派生形かも知れませんね。

 以上はメールの前半部分。1度に紹介するともったいなので2分割した。

 坂本さん、来週は岡山のデミカツ丼の写真を待っていますよ。

 「とんかつパフェ」は現在、都内にオープンした肉料理のテーマパークで食べられる(と思う)。電車のつり広告でも宣伝していた。

 「とんかつパフェ、食べに行こうか」と娘たちを誘ったが、シカトされた。

四角いのは「がんす」で丸いのが八幡浜の「じゃこカツ」(松山の坂本さん提供)

ご意見 地元和歌山の有田市はタチウオ漁獲量が日本一です。実家はその隣町ですので、小さい時分より、天ぷら(=さつま揚げをそう呼んでいた)をよく食べておりました。
 記憶では当時その呼び名を「丸天」とか「ひら天」とか、見た目で呼ばれていたと思います。「じゃこ天」とかいう呼び名もありました。イワシの天ぷらもあったような気がします。よく母親が「ごぼ天」と言っていたのは、ごぼうを魚肉のすり身で巻いてさつま揚げにしたものであったと思います。
 煮物や関東炊きの具材になり、そのまま醤油をかけて食べます。たまには焼いて焦げ目を入れて、醤油をかけて食べるとかしました。
天ぷらという名前なのに、なぜか冷たくして売られていました(こりんずさん)


 西日本では魚のすり身を揚げたものを「天ぷら」と呼んできた歴史がある。久留米でも「まる天」「ごぼ天」である。

 関東で天ぷらと言えば衣をつけて揚げたものを自動的に指す。私がまだ青年であったころ「天ぷら学生」という言葉があった。学生ではないのに制服を着て大学にやってくるヤツのことである。天ぷらのように衣(制服)と中身が違うという意味。

 西日本の天ぷらからこの言葉が生まれる余地はない。

デスク 他に「天ぷら舗装(路盤整備せずに舗装)」「天ぷらメーター(実際よりスピードが出ているように表示)」「天ぷらはんだ(はんだ付けに生じた空洞)」などなど。「天ぷら○○」のアイデア募集!

徳島フィッシュカツ(上)、「さげもん」(ヤスさん提供)

ご意見 徳島フィッシュカツ。3年前、阿波踊りを見に行き、時間待ちで入った居酒屋で遭遇しました。安くてカレー味なので居酒屋メニューとしてGOODです。
 さげもん。「あげもの」がテーマですが、シーズンなので彩りに九州・柳川の雛飾り「さげもん」の写真です(ヤスさん)


 私が近所で買ったフィッシュカツはカレー味ではなかった。写真を探したが、間違えて消去してしまったことが判明した。参ったな。

上段、左からたこコロッケ、たこぼう、はもてん、じゃこてん、やきそば、25円コロッケ。やきそば(下段左)、はも天ぷらなど(大阪の原さん提供)

ご意見 各地固有の揚げ物……うふふ。手が油でベトベトになっても止められません。口の周りがテカテカになっても止められません。コレステロールが気になっても、止められません。
 ではそんな揚げ物映像。
1)明石のたこコロッケ
2)明石のたこぼう、やきそばの天ぷら
3)やきそばの天ぷらをパクパク。
 さすが、タコの町。さすが、そばめしを始めとしたコナモン文化の近所の町。明石の駅前市場、侮れません。
4)京都のはも天ぷら、はもかつ。錦小路市場を歩きながらパクパク。パラダイスです。錦小路市場には他にも色々あります。短冊状に切ったレンコンのから揚げとか。ほくほくして美味い。
5)京都出町柳の近所だったかな? 25円コロッケ。
6)熱海の駅前 ジャガバター天とか海鮮とか。
7)津の巨大餃子。なぜか駅中のパン屋で販売。でかい(大阪の原さん)


 何故に焼きそばを天ぷらにしなくてはならないのか、おせーてくれ。

 「ジャガバター天とか海鮮とか」の「とか」とは何か、おせーてくれ。

久留米の「ワラスボ」の唐揚げ(上)、湖の幸の天ぷらうどん(いけずな京女さん提供)

ご意見 (1)久留米の「ワラスボ」の唐揚げ 久留米のB-1グランプリの夜に「ばった屋」で出た、怪魚ワラスボの唐揚げです。見た目は黒こげのようでしたが、食べてみると淡白で上品な味だったのでびっくり。
 (2)湖の幸の天ぷらうどん お隣の滋賀県では、害魚であるブラックバス類を新しい食材として活用しようという動きがあります。これはそのために考案されたメニューのひとつで、琵琶湖博物館のレストランで食べることができます。
 オオクチバスの天ぷらは、想像とは違い脂がのって美味しいもんでした。バス料理を出すお店はまだ少ないのですが、これから広がって、琵琶湖の新名物になればいいなと思ってます(いけずな京女さん)


 これもメールの前半だけ紹介。全部ご覧に入れるともったいないので、残りは次回以降に。

 琵琶湖のバス料理の取材に若手が出かけたことがある。現地の料理人が美味しく食べる方法をいろいろ試してみたが、やはり揚げるのが一番らしい。

 地元ではいずれは観光の目玉にしたいそうである。観光バスでおいでってか?

 関東からも。

みそポテト

ご意見 私が育った埼玉県の秩父でよく食べられているのが「みそポテト」。一口大に切ったジャガイモをゆでて、天ぷらの衣をまとわせ油で揚げたものに、信州系の味噌に砂糖などを加えた甘味噌をかけたもの。秩父以外で目撃したことはないですね。町のスーパーの惣菜売場でもおなじみの一品です。
 お店、あるいは家庭によって供し方に違いがあり、3,4個を串に刺してから甘味噌をかけたもの、串に刺さずバラバラと皿に盛られ(パック詰めされ)甘味噌を回しかけたもの、概ねこのふたとおり。
 ジャガイモのほっこり感(あるいはねっとり感)と衣の油分と味噌のうま味と甘みが絶妙にマッチして、子どものころは大好物でした。
 同じ埼玉でも県北東部に住むいとこの家の方にはないらしく、秩父に来るとこれを食べるのが楽しみだ、と言っていました(中野区方南の加藤さん)


紅ショウガの天ぷら(ミルフォードさん提供)

 秩父のみそポテトは当サイトにもちょこっと登場している。埼玉のB級ご当地グルメとして、最近注目されているのでメディアに露出することもある。

 栃木のいもフライとの対決を望む。

デスク、勘違い フライ級タイトルマッチ、亀田兄弟ですか?

野瀬 おお、油がのってきたねぇ。

 そしてやはりこれが来た。関西の「紅ショウガの天ぷら」である。ミルフォードさん、京女さん、豊下製菓の豊下さんから3連発メールをちょうだいしている。

 画像を比べてご覧いただきたい。

紅ショウガの天ぷら(いけずな京女さん提供)

 今週は写真が非常に多くて、とても嬉しい。レイアウト担当のアミー隊員は大変かもしれないが、もう少しだから頑張ってね。

アミー隊員 いえいえ。大変など。写真を送っていただき、ありがとうございました! 写真がこなかったら「自分でイメージ写真を撮るために、揚げ物をたくさん食べることになるな。そうしたら太るな」と心配してたんですよ。

謎の隊員梵ちゃん そうそう。テーマによって体重が増減するだワン。

紅ショウガの天ぷら。もちろんソースで(豊下製菓の豊下さん提供)

 「水」に関するメールも複数いただいているが、紹介できず申し訳ないことである。ただ世界的に見れば、水は巨大な問題であろう。日本は多くの食糧を輸入しているが、小麦などの穀類にしろ野菜・果物にしろ、現地の水をつかって栽培されたものであるから、水ごと輸入しているようなものである。

 この点については夢工房さんからご指摘があった。しかし議論は食糧自給率などの農業問題全般、そして環境問題にまで広がるので私の手に負えない。

 ただそのようなテーマが様々な場面で語られている、ということだけをテイクノートしておこう。

 いかん。真面目になってしまった。

 ではローカル揚げ物、次回もよろしく。

 おおそうじゃった、あっちも更新された

(特別編集委員 野瀬泰申)

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