まだやるの?編 第13回

 水(その3) 「蛇口からごくごく」この国の幸せ

<写真を拡大>原宿・表参道の通りには「とことん青森2010」の旗

 1月24日の日曜日、東京は快晴であった。寒さも緩んでいとおかし。

 そんな日曜の表参道は人で埋まっているだろうと思ってでかけると、まさに人で埋まっていた。山手線の原宿駅の改札を出るにも人の波に加わってノロノロ。改札から道路に出るにもこちらに向かって来る人、追い越して行く人とぶつからないように気を使う。

 満員電車の混雑がそのまま外に出たような人込みに混じって、明治神宮の砂利道を歩いて行った。目指すは青森県の大型観光キャンペーン「とことん青森」の一環として開設された「屋台村」である。

 先週紹介したような物件が並んだ。詳しくはアミー隊員のリポートをどうぞ

「青森ご当地グルメ屋台村」リポートはこちら

 屋台の周辺は人で埋まっていたので雑踏の中を歩いて表参道ヒルズに向かう。その地下3階の「交流広場」で行われている「ライブ通販」を見るためであった。

 青森県内の市場に商品提供者がいて「この筋子はふだんいくらで売っているのですが、今回は限定10人様にいくらで……」というふうにネットを通じた大画面で紹介する。東京の会場で画面を見ている人が試食して購入を決めるとその場で申し込む仕組み。

 ネット回線を使った新しい売り方の実験なのだそうである。文字通りライブ感があって面白かった。このような方法が次第に広がっていくのであろう。

 写真をお見せしたいところだが、カメラを持って行くのを忘れてしまった。申し訳ない。

<詳細な地図はこちら>

 さて前回のVOTE結果が出た。虫さんを食べる地域はどこか。食べない地域はどこか。

 皆さんからのメールで明らかになったことが数字でみごとに裏付けられた。すなわち「虫さんを食べる」という答えが50%を超えたのは長野(85)、山形(77)、福島(61)、群馬(53)、岐阜(50)、栃木(50)であった。山形、福島を除くとすべて海なし県である。

 反対に「食べる」がゼロであったのは青森と四国、九州、中国地方の瀬戸内側のほぼ全県。

 「食べる」と「食べる人もいる」を合わせると長野、山形、福島が100%になった。90%台に栃木、宮城、山梨が並ぶ。茨城、群馬、岐阜が80%台。

 岐阜以外はすべて東日本勢である。そしてやはり海なし県が目立っている。

 両方合わせてもゼロという県が4つ。鹿児島、高知、佐賀、山口である。

 地図は「食べる」+「食べる人もいる」が90%を超えたところを「大好き」、50%以上80%未満を「中好き」、10%以上50%未満を「小好き」、1ケタを「あんまり」、ゼロを「全然」として表示した。今回もまた鮮明な地図ができた。皆さんのご協力に深謝。

 では「水」に参ろう。まずは日本の水の情景から。しかも着眼点が秀逸。

イオン水(上)と濡れティッシュ(夢多きおやじさん提供)

ご意見 ほとんどの食品には水は必ず入っていますし、味を決める一つと思いますが、なぜか、ジュースなどの原材料には「水」の一言も書いてありません。
 ミネラルウオーターには、原材料「水」とありますが、いろいろ探してやっと2品の原材料に「水」の文字を発見しました。ひとつは水に近いイオン水、もうひとつは濡れティッシュです(夢多きおやじさん)


 ミネラルウオーターの原材料が水でなかったらタイヘンなことになるので、ウチの会社の売店(コンビニ)にある商品を見てみたら、すべて「原材料 水(鉱水)」などと書かれていた。ああ、よかった。

 濡れティッシュの原材料に「水」というのは「言われてみれば」の驚きがある。

「今年は花粉多い」予報におびえるデスク ドラッグストアの棚を見ると、成分表に「水」とあるのは化粧水・洗顔フォームなど少数。コンタクト用品をはじめ「精製水」が優勢のようです。ちなみに、シャンプーブランドの双璧ともいえるメリットは「精製水」、エッセンシャルは「水」。メーカーは商品イメージによって使い分けているんでしょうか?

水道水の美味しいところはそばも美味しい

ご意見 中林20系さんが「水道水のおいしいところはご飯もおいしい」と書いてらっしゃいましたが、そばでも同じことが言えると思います。茨城の誇る「常陸秋そば」は主に山間部で作られますが、山間部だけあってやはり水もおいしいです。もっとも、水道水というよりは井戸水の多い地域ではありますが。
 話は変わって、それほど山間部でもない我が家の水について。
 私の生まれる前(30数年前)まで我が家では、台所だけ市の上水道、それ以外は裏山からしみ出す沢水を引いて使用していたそうです。そうとは知らない新婚の母はある朝、洗面所の蛇口から出てきたカエルを見てのけぞったとか。
 その後もたびたびミミズやらオタマジャクシやらがコンニチハしたため、耐えかねて父や祖父母に訴え出て、なんとか家中を市の水道にしてもらったそうな。
 「カエルの水で顔洗っちゃった! 飲んじゃった!」と、母はいまでも悔しそうに話してくれます。
 父や祖父母は、蛇口からカエルが出てくることについて、特に疑問に思ったりはしてなかったようです。その沢水自体はいまも健在で、祖母が農作業の合間に喉を潤しています。私は……ちょっと怖くて飲めません(茨城・めぐちゃん)


 常陸秋そばを食べる会のお誘いを受けたことがあるが、忙しくて行けなかった。代わりに、それを前橋の居酒屋で食べた。2代目がそば打ちに凝っていて、使うそば粉が常陸の秋そばであった。お湯で溶いた「そばポタージュ」も飲んだぞ。参ったか。

 「カエルの水」は先週登場した豪州の雨水と似ている。大阪勤務時代に住んでいた古い集合住宅の1軒で、水洗トイレからネズミが逆流して飛び出すというジケンがあった。近所中で騒ぎとなり、私もトイレに行くのが怖くて仕方がなかった。

 こっちの方がつおいのではないだろうか。

ミカン

ご意見 その昔、私がまだコウガンの美少年だった高校時代は山岳部に所属していました。1泊2日くらいの登山では、水を、弁当箱をふたつかさねたほどの大きさのポリ製の水筒(ポリタンと呼んでいた。ちなみに色は白)に詰めていけば十分なのですが、1週間くらいの合宿になりますと、都度調達しなければなりませんでした。
 貧乏学生が山小屋など利用できるはずもなく、ひたすらちいさな雪渓(残雪のかたまり)の最下部で、したたり落ちる雪解け水を集めていました。
 あいまいな記憶では30年ほど前の北アルプスの山小屋では、ドラム缶にためた水(雨水であろう)をポリタン1杯(たぶん1.8リットル)100円か200円だったと思います。250ミリリットルの缶コーラは、最高420円の値がついていました。
 冬山になりますと、コッヘル(鍋)に雪を詰めてコンロで溶かして、ポリタンに充当するのですが、鍋1杯でもわずかな水にしかならず、たいへん手間のかかるものでした。なんといっても、溜めた水を入れたポリタンを決して覗き込んではいけません。ミカンの皮を細かくしたようなものがいっぱいに浮遊していて、目をつぶって「エーイ!」と気合を入れなければ、とても飲めたものではありませんでした。
 思えば、登山のおかげで心身ともに鍛えられたなー(甲信越放浪男さん)


 山小屋で売っている食料は人間が背負って運び上げるので、とんでもない値段になる。運ぶ人の日当をまかない、同時に短期間で1年分を稼がなければならないからであろう。

 しかし雨水も有料とは……と思ったが、タンクを作るのにコストがかかっているから、仕方がないのか。

 まあいいや、山には登らないし。

「氷旗」に弱いデスク 「かき氷って解けると、どうしてあんなに少なくなっちゃうの」と常々疑問に思っています。その逆プロセスってこと?Alive(ピアズ・ポール・リード・1974、邦題「生存者」)にも、雪から水を作るのに四苦八苦する様子が描かれています。この本、テーマがテーマだけに…興味のある方は図書館へどうぞ。

琵琶湖

ご意見 大阪の水がまずかったころによくあった冗談話が、いけずな京女さんも紹介していた「滋賀県人は何かというと『琵琶湖の水止めるぞ』と脅かしよる」でした。京都、大阪の下流の民はこれを言われると唇を噛みしめて涙をこらえたものです。
 ある日関西ローカルの深夜番組で「そんなこと言うんやったら、琵琶湖の水、流させへんぞ。滋賀県中水浸しになっても知らんからな」(この関西弁の微妙なアクセント、理解してもらえまっしゃろか?)
 これを言ったのが、かの有名な京都生まれの漫才師島田紳助です。しばらく腹を抱えて笑い転げました(鯛之輔さん)


 強力な反論であるが、私はどっちでもいい。関西に住んでいないし。

自動販売機に「軟水」「硬水」の文字(本文と関係ありません)

ご意見 先週の私のメールに野瀬さんが「この水道水は硬水では?」と書かれていたので、調べてみました。
 茨城県の水道水の硬度一覧がネットで公開されており、平均硬度で見ると、我が家の水は中硬水程度。お隣の市は130mg/Lを越える硬度の水なので、WHO規定でも立派な硬水みたいです。
 日本の水道水は軟水だと思い込んでいたので、地域によっては立派な硬水だったのには正直驚きました(こばりんさん)


 自分が住んでいる地域が硬水である確率のことを硬水確率と……言わない。

謎の隊員梵ちゃん ズルッ。

アミー隊員 こばりんさんと同じく、私も思ってましたよ。日本の水道水は軟水だと。違ったんですね。

豆腐

ご意見 いけずな京女さんや、井戸をバブル世代の若夫婦に壊された方の投稿やらを読んで、京都の井戸水は地下鉄によって荒らされたことを思い出しました。
 亡父は水道関係の仕事に就いておりまして、お豆腐屋さんやお肉屋さんもお得意先でしたが、最初の地下鉄烏丸線の工事が始まると「井戸水が出なくなった」と相談が飛び込みました。お豆腐屋さんは商品が作れず、お肉屋さんは冷蔵庫が動かず、難儀されてました。
 新たに井戸を掘ったりしてましたが、京都市は補償してくれたのでしょうかね。地下鉄は渋滞もなく便利ですが、便利になった人ばかりではないことも忘れないようにしようっと(だいぶっちゃん)


 このメールを読んで、東京の地下水脈はどうなっているのかと考えた。地下鉄網は覚えきれないくらいに発達していて、新しい路線もできている。上手によけて掘っているのであろうか。

美味しい酒には美味しい水

ご意見 私の実家は灘五郷のひとつ、大手酒造メーカの目の前にあります。この辺りでは、お酒を造る井戸水を「宮水」と呼んでいて、小さいころには、それを運ぶための専用のトラックが走っていました。イメージは、灯油を運ぶ楕円形のタンクを積んだ車でしょうか。最近はもう見なくなりましたが、今のお酒は「宮水」ではつくられなくなったのでしょうか(横浜のクレヨンさん)


 2度目の大阪勤務時代、西宮に住んでいた。西宮の特定の区画にわき出す水が「宮水」。水質が酒造りに向いているため昔から使われてきた。いまも使われているはずである。

 我が久留米は灘、伏見と並んで酒蔵が多い。ということは水が美味いのか。意識したことはないが、少なくとも不味かった記憶はない。

 今度、姪のケツコンシキのために帰るので、しかと味わってこよう。水と水をつかってつくるものと両方ね。

本文と関係ありません。愛知県田原市特産の「どうまい牛乳」。「どうまい」は「すごくおいしい」という意味(防人さん提供)

ご意見 私も社会人になって、何回か転勤しておりますが、水道で一番おいしかったのは宇都宮に住んでいたときの簡易水道でした。宇都宮には公共水道もあったのですが、簡易水道の方がおいしかったし、大家さんの好意で賃貸料に含まれていました。
 行政コスト低減も見越して簡易水道から公共水道に切り替えさせられるところも多いそうですが、水源の大切さを知るにはいい機会だったと思います(よねちゃん@愛知さん)


 簡易水道というのは供給世帯数が少ないところにある。ということは中山間地? ということは水源は湧き水?

 私はいま畠山重篤さんの「森は海の恋人」という言葉(著書名でもある)を思い出している。畠山さんは宮城でカキを養殖しているが、あるときこの海に栄養を運んでくる川のことを考える。川に栄養をもたらすのは森の木々。森が衰えれば川が衰え、海も衰える。

 そして海のために、山のために海の民が山に木を植える運動を始める。

 カキの養殖棚を前にして獲れたばかりのカキを冷たい白ワインで流し込みながら、畠山さんからお話を聞いたあの日が懐かしい。

 さてと、今週も外国の同人からたくさんのメールをいただいた。日本が水に恵まれたアリガタい国であることに感謝しながら読んでいこう。次のメールも「こばりん」さんからのもの。

噴水(本文と関係ありません)

ご意見 知人Sが仕事の関係で渡っているインドでは日本人が水道水を飲むと生命に関わるそうです。飲むどころか、口に含んでも危険。食器を水道水で洗うのも止めた方が賢明だそうです。
 彼は(強調)仕方なくアルコール飲料で済ませているそうです。あ、氷はペットボトルのミネラルウオーターを冷蔵庫で凍らせて作ってるそうです。市販の氷も危険なんだそうな。
 そこまで用心していても、彼の地に渡った日本人は必ず1回はお腹を壊すんだとか。あちらの日本人社会ではソレを「ウエルカム・シャワ−」と呼ぶんだそうです。嫌すぎ


 うーん、このメールを紹介するのではなかった。

デスク でも、「噴水」よりはマシだと思います。

中国の道路清掃をしている散水車(Two Pumpsさん提供)

ご意見 ご存知のように中国は大気汚染、土壌汚染、水質汚染が大きな問題になっています。水道水などそのまま飲んでしまえば、生命の危険すらあります。そこで、水を買うわけですが、この水がまたあやしいものです。
 「ミネラルウオーター消毒殺菌済み」と表示されていますが、川や池から汲んだ水の上澄みだけをボトルに詰めて売っている様子が中国のテレビニュースですっぱ抜かれていました。確かに、この水を飲むとお腹の調子がおかしくなりました。
 ところで中国の道路清掃をしている散水車は、なぜか「ハッピーバースデー」の曲を流しながら走行しています(中国杭州よりTwo Pumpsさん)


 水道水をペットに詰めている映像は日本でも流れた。あのギョウザ中毒事件のころであった。彼の国のGDPは今年にも日本を抜くそうなので、このような問題はそろそろ、何とかして……むにゃむにゃ。

日本茶をいただくのに1時間…

ご意見 昨年11月にイギリスに行きました。硬水だとはわかっていたものの、ポットで沸かせばどうにかなるだろうという素人考えでホテルに置いてあった○ィファール社のポットを空けるとカルシウムっぽい白い固体が……。
 往復徒歩30分でコンビニに行き、歯ブラシとペットボトルの水を買い込み、歯ブラシで白い粉がなくなるまでよく洗い、ペットボトルのお水を使ってお茶を飲める状態になるのに30分。トータル1時間かかって日本茶をいただきました。
 その後、2日に1回は上記コンビニに水を買いに行く日々。そのおかげか、お水のおかげか、滞在1週間の出張で2キロやせました。
 日本に帰ってすぐにリバウンドしたことは言うまでもありませんが、日本のお水のありがたさが身にしみた1週間でした(神奈川在住愛媛生まれさん)


 外国の水の話を読んでいて思う。インド人はなぜそのような水を飲んで元気なのか。中国人もなぜ平気なのか。イギリス人はなぜ気にならないのか。

 人間の体は、そこにある水に順応するのであろう。私がウーロンハイに順応しているように。

水といってもイロイロ。鉱水、鉱泉水、水道水に温泉水(本文と関係ありません)

ご意見 実体験です。約20年前のアラスカ内陸部(フェアバンクス近郊)のロッジの水は「飲んじゃあいけない」と言われました。うがいや歯磨きには使いましたが、確かに口に含むと「重いような、ぬるっとしたような」感じでした。
 13年前のアメリカ・ニュージャージーのホテルの水道水では「人生最悪の下痢」に滞在1週間ずーっと苦しめられました。そう、つい飲んじゃったんです。現地滞在の日本人には随分馬鹿にされました。
 ヨーロッパでは北欧(スウェーデンとノルウェイ)の水道水はお勧めです。美味かった! ただし、デンマークは少し臭かったです。アイルランド、ドイツ、イギリス(スコットランド含む)、ポルトガルも問題なしです。フランスでも数都市を泊り歩きましたが、すべて「飲んでも大丈夫」とのホテル側の説明でした。
 イタリアも数都市はOKでしたが、ローマでは安ホテルのお婆さんが「飲むと下痢をするから」とキッチンの浄水器の水をペットボトルに入れさせてくれました。欧州は全般に硬水のようですが、私には特に抵抗感はありませんでした。
 しかし帰国して地元の水道水を飲むと「水が美味い!」と感激しました。富山の水道水は美味いですよ(富山の煮豆ライスさん)


 水がないと人間は生きていけない。それだけに味の違いはあっても水道の蛇口から出る水をごくごく飲める日本人は感謝しないといけないかも。まんまんちゃん。

デスク、興味深々 公園の水のみ場といえば、形がちょっとアレな「立形水飲水栓」。学校でおなじみの蛇口が360度回転する「万能水栓」。でも、コレって70年代以降に普及したような記憶が。「口飲みするなよ〜」に始まり「間接キス」とか、やりましたね。学校の飲み水事情ってどうなっているでしょうね。全員が水筒かペットボトル持参とも思えないし…。

 このよーな、どーでもいい内容のメールが届いている。

「お冷やにちゃぽん」(机さん提供)

ご意見 神保町にある、悶絶するほどお腹がすくと訪れるカレー屋さん。ここでは、カレーを食べるスプーンが必ずお冷やのグラスに入れて客の前に出されます。そういえば、カレーを食べる前に必ずスプーンを「ちゃぽん」とお冷やにつけるおじさんっていますよね?
 カレースプーンの「お冷やにちゃぽん」って、いったいどういう意味があるんですか? その由来は?(机さん)


 ガヴィアルか? ボンディか? ともかく理由は知らないが、何でもホーリツで決まっているらしい。

 今度飲みながら一緒に考えよう。おごってくれ。

 では来週も引き続き「水」。

 おおそうじゃった、あっちも更新された

 1月30日の韓日B級グルメトークバトル。わざわざ大阪から来てくださる方もあるらしいので、内容がB級にならないよう頑張るのである。

(特別編集委員 野瀬泰申)

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