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WagaMagaフォーラム、温泉トークに“ほっこり”

<写真を拡大>札幌国際大学の松田忠徳教授(左)と温泉ビューティ研究家の石井宏子さん

 日本経済新聞社、日本経済新聞出版社、日本経済新聞デジタルメディアは11月17日、第14回WagaMagaフォーラム「温泉文化と癒やしの力、美容のパワー」を都内で開いた。知的エンターテインメント雑誌「REAL NIKKEI Style」との共同トークイベント。“温泉教授”松田忠徳さんと温泉ビューティ研究家・石井宏子さんのトークを、2000人の応募から抽選で招待された300人がリラックスして聞き入っていた。

 松田教授は札幌国際大学観光学部教授。日経紙面の連載「古湯を歩く」や「日本百名湯」シリーズで知られ、日本初の温泉学講座を受け持っている。石井宏子さんは温泉ソムリエ、温泉入浴指導員の資格を持ち、温泉旅行を活用した「温泉セラピー」を提唱している。

 イベントは2部構成、第一部はそれぞれ独自のテーマで講演した。

■松田忠徳教授

<写真を拡大>札幌国際大学の松田忠徳教授

 私は入院したことがないのが自慢。先日も尿道結石を自分で治しました。これで4回目、入浴とジョギングで直した。私には自分なりの治し方が出来ている。

 私は風邪も含めてすべて温泉で治します。温泉が本当に体に効くと思っている人は、どのくらいいますか?

 温泉を体に効くようにするポイントは2つあります。まずその話をします。

 1つ目は温泉を信じること、2つ目は科学的に効く温泉に入ること。

 私は情緒的な人間ですが、バックボーンに科学があります。

 温泉に入ると「あぁ極楽」と声がでる。ではなぜ温泉は効くのでしょうか?

 私たちは湯に始まり湯に終わる民族です。始まりは産湯で、世界のあらゆる民族がそうです。世界には一生に一度もしくは二度しか入浴しない、という民族もいます。それは1回は産湯だけ、2回はそれに結婚前が加わる。

 そして最後も湯で終わる、とは……、湯灌(ゆかん)です。死=穢れですから、湯灌をする。

 子供のころから「湯灌」というのになぜ冷たい水なのか、ということを疑問に思っていました。奈良時代に斎川浴(ゆかわあみ)というものがありました。これは天皇が冷たい水で身を清めることを指しました。日本人は目に見えないこころの汚れ=穢れをきちんとしたい、という民族なのです。

<写真を拡大>写真提供/日本経済新聞出版社「REAL」

 6世紀に仏教が伝来し8世紀に仏教が全盛を迎えました。聖武天皇が東大寺を作ったころ、経典が入ってきて、風呂に入ると功徳が得られる、と書いてあった。

 奈良時代に寺湯、平安時代以降に町湯になりました。

 湯女(ゆな)という言葉がありますが、元々は奈良時代の風呂を管理する役目のお坊さんでした。入浴すると功徳を積める、だからお坊さんは風呂を作って、功徳を得たいから、人々を風呂に入れた。「施浴」といいました。もっと高みにいくために施浴を広めたのです。

 聖武天皇の奥さんの光明皇后は歴史上有名です。千人浴、という説話があります。皇后は1000人の背中を流してあげようと思いたった。999人の背中を洗い終わり、皇后は徳を積んでいたのでしょうね、1000人目を洗おうとすると、1000人目は後光が指して天に昇っていった。きっと仏様の成り代わりだったんでしょうね。あの才色兼備の光明皇后が好きな風呂、だから庶民にも入浴が広がった。

 源頼朝の奥さん、北条政子が死んだときには鎌倉幕府は1年間施浴をしました。

 このように昔の温泉はお坊さんが見つけた湯が多い。有馬温泉は行基ですからね。

 鶴の湯、鹿の湯というのが北海道くらいでしょうか。

 会津・東山温泉はからすが発見したことで知られていますが、これは珍しい。

 自分に効く温泉として、まず信頼できる温泉を選ぶことです。ぜひきょうは信頼できる温泉を見つけてほしいと思います。

 次に2つ目として私たちは本当に風呂の入り方が分からなくなっている。

 忙しい現代人はシャワーばかりです。会社の中でも家でも1日エアコンに当たっていて自分の力で発汗していない。自律神経がおかしくなっている。

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 若い人の40%くらいは体温が35度くらいと低いです。

 子供がなぜすぐに発熱するか。それで体を守っているのです。内臓温度は37.2度〜38度で白血球が機能しだす。脇の下で35度だと内臓温度が機能するにはタイムラグがある。だから子供は自ら戦うために発熱するのです。

 温泉湯治は日本固有の文化であって、中国の文化ではありません。欧州では発達したが日本とは交流が無かった。従って温泉学は戦前まで日本の重要な治療学でした。

 湯治は新古今和歌集の選者として名高い藤原定家が800年くらい前に書き残しています。

 箱根に7つの湯がありますね。江戸っ子は江戸時代、1カ月休みをとり、往復5日ずつくらいかけて箱根を訪ね、3週間で7つの湯をめぐった。

 300年くらい前までは日本に予防医学の習慣があったのです。江戸っ子は自然治癒力を高めるために湯治に行った。温泉で湯治して免疫力を高めていた。

 私の世代は「フランスは1カ月バカンス取れていいね」とよくいいますが、この習慣は18世紀末のフランス革命以降のこと。江戸っ子は400年前から1カ月休んで箱根で湯治していたのです。

 欧州は温泉先進国で、温泉で保険が効きます。でも日本は効かない。代わりに西洋医学の病院で3割負担で副作用の恐れのある薬で治します。西洋医学は病気を治す、温泉は心と体を癒します。その違いです。私はぎっくり腰になりましたが、これも入浴で直しました。

 東洋医学のお医者さんは予防医学、いまの医者は病気を治す専門家、ガンにならない体をつくるには自分で予防するしかない。

 昔は失恋したら温泉旅行に行った。いまはうちの学生が失恋したら病院にいきます。保険で3割負担、医者は病名つけないと保険使えないから無理やり病名つける。それを聞いて余計ショックを受ける。 

 現代社会はあまりに薬依存症になっているのがイライラの原因ですよ。シャワーは低体温を加速しますしね。

 効率至上主義で薬を選び、湯船でゆったり、よりはシャワーを選ぶ。だから血流がうまくいかないから体から老廃物が出ていかない。昔は風呂に入り一日の区切りをつけていた、悪のスパイラル、戦後の効率至上主義が入浴文化をダメにしました。

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